Contents
大学院の研究室選びって悩みますよね。僕は現在(2021年時点)大学院で研究をしているのですが、その研究室を選ぶのには結構悩みました。
この記事では自分の実体験や、まわりの同期や先輩から聞く研究生活などをもとに、大学院の選び方を解説します。
また、僕が東京大学の研究室ではなく、京都大学の研究室を選んだ、より具体的な理由も紹介します。研究室の選び方に正解はないですが、大学院進学や研究室選びに悩んでいる方の一つの参考になればうれしいです。
(アイキャッチ画像出典:https://pixabay.com/ja/photos/%e5%b0%91%e5%a5%b3-%e5%8d%92%e6%a5%ad-%e5%a4%a7%e5%ad%a6%e9%99%a2-%e7%9f%a5%e8%ad%98-4288526/)
研究室を選ぶ4つの基準
はじめに断っておきますが、何を重要とみなすかは人によって違ってきます。博士課程に進む予定の人と、学歴に箔をつけて就職活動を有利に進めるために大学院に進学する人では評価基準が違うのは当たり前ですよね。
ですが、どちらにせよ、研究室で研究を行っていくことを考えたときに研究室選びにおいて基本的な基準を4つ紹介し、それらに対する僕の考えを述べます。
- 研究室の雰囲気が合っているか
- 研究室が実績を持っているか
- 潤沢な研究資金があるか
- 研究内容にある程度興味がもてそうか
研究室を選ぶ基準① 研究室の雰囲気が合っているか
ここが研究室選びで一番大事といっても過言ではありません。
とくに研究室のトップは教授です。教授とのそりが合わないと、窮屈な研究生活を送ることになってしまいます。
教授との関係はいいけど、準教授や助教の性格がやや難ありで、苦しんでいる学生もいます。
最も大事な点ですので、この「研究室の雰囲気が合っているか」を調べる方法を3つ紹介します。
研究室訪問をする
教授と話をすることで、なんとなくの人柄というのがわかります。
また、どんな研究を行っているのかを聞いたり、実際に研究している様子を見学することで、その研究室で研究するイメージが浮かびます。
先輩に噂をきく
これも非常に有効な方法のひとつです。僕は先輩の意見も参考にして決めました。特に悪い噂が立っている研究室は避けた方が無難です
ただし、その情報が信頼に足るかはよく吟味しましょう。
その研究室で博士課程に進んでいる学生の割合を調べる
修士課程である程度研究生活に良いイメージを抱かないと、同じ研究室の博士課程に進んで研究を続けたいとは思わないですよね。
なので、数年博士課程に進む学生がいないような研究室は学生から「この研究室で研究を続けたくないな」と思われている可能性があります。たとえその研究テーマに興味があっても避けるのが無難かもしれません。
ただし、必ずそう言い切れるわけではないのが難しいところです。たまたまここ数年博士課程に進む気がもとからなかった学生が在籍していただけかもしれません。他にも相性の問題があるので、他の人には合わなかった環境でもあなたには合っている可能性もあります。
研究室を選ぶ基準② 研究室が実績を持っているか
次に、その研究室が実績を持っているかというのも重要なポイントです。どうせ研究するなら、重要な研究をしている研究室で研究する方がいろいろと学びは大きいですよね。
実績を持っているかどうか調べる1つの方法はgoogle scholarを使うことです。google scholarにはありとあらゆる分野の論文が蓄積されています。google scholarの使い方は簡単です。
- まず、教授の名前を英語で検索する。
- その教授が執筆した論文を見る。
- その論文がどれだけ引用されているかを見る。その引用数が実績を表している。
ただし、論文の引用数が実績のすべてというわけではありません。すごく重要な論文を書いているけど、あまり引用されていないということもあります。
しかし、研究者ですら難しい論文の価値の判断を3年生や4年生の段階でするのは非常に難しいでしょう。そういう意味で論文の被引用件数というのは実績のわかりやすい指標になります。
研究室を選ぶ基準③ 潤沢な研究資金があるか
研究資金がないと、できる研究に経済上の制限がかかってしまいます。なるべく余計なところで研究活動を制限されたくないですよね。
研究室がどれだけ研究資金をとってきているかはKAKEN(科研)で知ることができます。
また、資金があるということは、それだけの実績を残していて信用があり、また意義のある研究を行っていると認められているからともいえます。その点で獲得資金は実績を表すもうひとつの有力な指標にもなります。
研究室を選ぶ基準④ 研究内容にある程度興味が持てそうか
多くの方はここを意識するでしょう。何にでも通じることですが、興味が持てない内容を研究しても辛いだけですよね。
ですから、もちろん大事なポイントです。しかし、ここを必要以上に重視しすぎるのはおすすめしまん。その点で「ある程度」と書きました。
では、なぜ重視しすぎるのがダメなのか、その理由を次で詳しく2点解説します。
興味だけで研究室を選ぶのが危険な理由① イメージ通りとは限らないから
興味だけで研究室を選ぶのが危険な理由は、研究室に入る前に抱くイメージがあてにならないからです。言い換えれば、自分の興味通りのことができるとは限らないということです。例を出して説明します。
2019年には、googleが普通のコンピュータよりも計算速度が速い量子コンピュータを開発したとして話題になりました。そしてそれによって世界中の暗号が解かれてしまうのでは、ということも言われています。
そこで、量子コンピュータを扱っている研究室に入って、「さらに処理速度の速い量子コンピュータを作りたい」と仮に思ったとします。
しかし、実際研究室に入ってみると、量子コンピュータに関する全然別の研究を行っていたり、実際の作業ひとつひとつがかなり地味だったりして、「あれ?思ってたのと違う」となったりすることがよくあります。
そのあたりのミスマッチを防ぐ1つの方法として一番いいのは、研究室から出ている論文を読んで理解したり、教授にきいたりすることです。しかし、それには前提知識がかなり必要になる場合が多いため学部3,4年生の段階できちんと正確に理解するのは難しいです。
興味だけで研究室を選ぶのが危険な理由② 興味が変わるから
大学院を受験するのは大学4年生の夏です。大学4年生というと、いろんなことを知っていそうですが、実のところまだ全然その分野のことを知らないんですよね。
広く浅く知っている段階です。より深く勉強していくと、「あ、自分は別の研究室がやっていることの方が興味あるな」ってなったりします。
特に、興味だけで肌に合わない研究室を選んでしまった場合は危険です。興味が変わってしまうと、研究室に行くモチベがなくなってしまいます。
そうならないために、研究に対する興味以外でも研究室を考えてみるのが大事です。
僕が東大の研究室を入学辞退した理由
僕自身は以上述べたポイントで大学院の研究室を選びました。その結果、学部のときと同じ京都大学の大学院に進学することにしました。
上で述べた4つの理由のほかに、どんなことを考えて大学を変わらずに京都大学にとどまったのかを解説します。「あ、こんな視点があるんだ~」という参考にしていただければうれしいです。
東大ではなく京大の研究室を選んだ理由① 環境を変えたくなかったから
僕が受けていた京大の研究室というのは僕が4年生の4月からの研究室配属で所属していた研究室でした。
特に自分が実験系だということもあって、研究室を変わらない方が楽だと考えました。というのも、大学4年生の間、研究室で実験装置の使い方を覚えても、研究室が変わってしまったらまたそこで1から実験装置の使い方を覚えなければなりません。
また、これは人間関係にしてもそうで、4年生の間に教授や先輩との信頼関係を築いても、研究室がうつったらまた1からスタートしなければいけません。
東大ではなく京大の研究室を選んだ理由② 学部時代の友達と遊べるから
大学院は研究をするところですが、息抜きもしないと疲れてしまいます。その点で、友達と遊ぶことができる環境は大事です。
学部時代によく遊んでいた友達や先輩の多くはそのまま京大の大学院に進学していました。なので、僕も京都に残った方が遊ぶのに都合がいいです。
大学院の選び方まとめ
この記事では大学院の研究室を選ぶ際の4つの基準を示しました。
- 研究室の雰囲気が合っているか
- 研究室が実績を持っているか
- 潤沢な研究資金があるか
- 研究内容にある程度興味がもてそうか
もちろんこれ以外にも様々な基準がありますし、ウェイトは人によって違うでしょう。
例えば、僕は研究内容に対する興味は実はそこまで重要ではないと書きましたが、「俺は絶対この分野を突きつめてやる!」という強い意志があるかたは研究内容のみで研究室を選ぶのも良いでしょう。
もし仮にその研究室がいわゆる「ブラック」研究室だったとしても、その研究内容に対する興味でカバーできるかもしれません。
どうやって大学院を選ぼうか悩んでいる方には、この記事で具体的に基準や調べ方を示したことで、参考になったのではないでしょうか。
コメント